いつも私のオークションにご興味を持って頂きありがとうございます。

こちらは、
大変珍しいGRECOのアコースティックギターです。

ヘッドロゴから見て、
71〜74年の間に製作された、
GRECOなのですが、
どう見ても不思議なスペックでして、
トップは単板でスプルースを使用しており、
サイドバックは合板ですが、
美しいトラ目のメイプルを使用。

これだけならまだ分かるのですが、
なんと、
ネック、指板、ヘッドの突板もメイプルを使用しており、
サウンドホールから覗いてみても、
ラベルもスタンプもない、
しかも、
全く情報が出てこない…

私が確認する限り、
カタログにも載っていない、
カタログ外のモデルか、

手に入れた場所が長野県ですので、
おそらく、
当時製作された関係者の方が手放したプロトタイプかもしれません。

肝心なサウンドはというと、
とにかく素晴らしいんです。
ずっと弾きたくなるような…といっても、
全く分からないと思いますので、
まずは、
サンプルを録りましたので、
ぜひお聴きください。

https://xfs.jp/4EVjrU

サイドバックメイプルのアコギは、
たくさん弾いてきましたが、
数十万クラスのオール単板のものでも、
新しいものは、
メイプルの良さを活かしきれておらず、
低域のレンジが狭く、
倍音の粒子もあまり飛んできてくれないので、
高域のエッジの立った痛さだけが目立つものもありました。

こちらのGRECOは、
サウンドサンプルを聴いて頂ければ分かると思いますが、
低域のふくよかさと、
中高域のレンジの広さと、
非常に色気のあるメイプルらしい、
ジューシーな倍音が鳴ってくれるので、
マイク乗りが最高なのです…

今から約40年も前のギターですから、
木材も良い具合に水分が抜けて、
マテリアル本来の特性が出てきてくれているのだと思います。

GIBSONのDOVEや、
J-200なんかも弾いてきていますが、
メイプル指板のおかげなのか、
また違ったふくよかさと、
煌びやかな倍音成分のゆらめきが、
とてもリッチに聴こえてきてくれます。

さらに、
現在は12F6弦は約2.1mm、1弦は約1.9mmですが、
サドルはアジャスタブルですので、
調整可能。
フレットの残りは約7割程度で、
トラスロッドはネックが良い左右に動くことを確認出来ております。

昔の国産ヴィンテージは、
経年のおかげで木材自体は乾いた鳴りのものが多いのですが、
弾きにくく使い物にならないものも多いです。
こちらのGRECOは、
年代相応の打痕、トップ塗装のヒビ(トップ下あたり)、小傷などはもちろんありますが、
プレイする上では非常に弾きやすい家でつま弾いてもずっと弾いていられますし、
レコーディングなどでも、
充分に活躍してくれると思います。

弾き語りをする際、
メイプルの中域〜中高域のジューシーなレンジ感は、
ローズ系(よくあるのはインディアンローズ)の煌びやかな鳴りよりも、
日本人の発声の音域との相性がよく、
レコーディングをしてもプラグインでのピークカットの数も少なくなりますし、
音圧を上げていっても、
ボーカルが破綻しにくく、
どちらも美味しい音域が出て来てくれるので、
かなり重宝出来ます。


なにしろ、
このようなスペックを持ち備えた、
70年代初期のGRECOのアコースティックギターは、
これから出てくることはないと思いますので、
大切にして頂ける方にお譲り出来ると嬉しいです。

それでは、
よろしくお願い致します。（2022年 3月 23日 9時 37分 追加）詳しい方からの情報提供により、
70年代のIbanez Concord No699と同じ仕様だということが分かりました。

カタログをみると、
サイドバックのメイプルは、
Selected mapleとわざわざ書いてあるように、
当時の厳選したメイプルを使用しているようです。
美しいわけですね…
それにしてもGRECOでラベルなしのこのスペックの情報は出てきません…

79年くらいまでIbanezの699は出ていますが、
このGRECOのロゴだと70年代初期ものだと思いますので、
どちらを最初に手がけたのでしょうか…
こういったところを探っていくのも当時の国産ヴィンテージを楽しむ醍醐味ですね。