金沢市で一番の繁華街「香林坊・片町」の辺りを散策していたら、「昭和歌謡」を売りにしたスナックがありました。花の金曜日だったので、お客さんがいっぱい座っていれば止めておこうと思って店に入ったら、客はゼロ・・・・・。店の中には、もっさりした初老のマスターが、一人片づけをしておりました。そこで、「県外ですが、大丈夫ですか？」と尋ねて、了解を取った後、椅子に座り、梅酒の水割りを注文しました。システムは、お酒が、７００円、席代(チャージ料)が１０００円、カラオケは、１０００円で歌い放題という訳で、しめて、２７００円(税込み)でした。２時間ほどの滞在中、誰も他の客がいなかったこともあり、昭和の歌を歌っては会話、また、歌っては会話、という感じで、時間が過ぎていきました。しかし、５２歳のマスターは、「昭和」を売りにした店をやっているだけあって、「昭和」の事をよく知っていました。 話によると、金沢生まれの金沢育ちだそうですが、子供時代、かなり貧乏をしたらしく、いつも、お金持ちの子に、まるで、小判ザメの様にくっ付いていたそうです。マスターの子供時代は、マジンガーＺだとか、なんだかんだの「超合金のオモチャ」が流行っていて、自分も欲しかったそうなのですが、なんせ、値段が高くて、親に買ってもらえなかったそうです。しかし、このお金持ちの子の家に遊びに行くと、「５０㎝ぐらいあるような、当時の子供たちの夢の夢、マジンガーＺの大型超合金」をはじめとして、各種「超合金のヒーロー人形」が、ほぼ全て揃っていたそうです。また、このお金持ちの子の家の冷蔵庫には、当時としては大変珍しい「１００％果汁のオレンジジュース」が入っていたそうです。この頃、まだ、外国産のオレンジの輸入自由化がなされていませんでしたので、オレンジジュースといえば、申し訳程度に果汁が入っているだけの「バヤリース」もしくは「プラッシー」がメインでした。それから、このお金持ちの子供は、おばあちゃんに「駄菓子屋に行きたい」と伝えると、「１００００円の小遣い」を貰えたそうです。「１００円」や「１０００円」じゃないですよ。「１００００円」でございます(笑）。そして、一回１００円のガチャガチャをする時も、そのお金持ちの子は、一万円札を銀行で「１００円の束(１００円が１００枚）」に替えてもらい、お目当ての商品が出るまで、延々とガチャガチャをやり続けたそうです(笑)。そして、もちろん、子供時代のマスターが食べる駄菓子代は、このお金持ちの子がすべて払ってくれたそうです。 ある日、子供時代のマスターは、そのお金持ちの子の家に遊びに行き、おもちゃ箱に入っていた「１００体を超える、超合金のヒーロー人形・塩化ビニールのヒーロー人形や怪獣」を部屋に並べました。一体、一体、等間隔で並べていったのです。まさに、壮観でございます。子供時代のマスターは、ひざと両手を畳につけて、お尻を突き出し、頬を畳にこすりつけながら、この大集合したヒーロー達を眺め上げました。夢にまで見た景色です。「マジンガーＺ」「グレートマジンガー」「ＵＦＯロボ・グレンダイザー」「ゲッターロボ」「ゲッターロボＧ」「鋼鉄ジーグ」「ガイキング」「ボルテスⅤ」「コンバトラーＶ」「デビルマン」「ウルトラマンシリーズ」「仮面ライダーシリーズ」、そして、「ロボコン」までいます・・・・・。子供時代のマスターは、頬をほんのり染めて、悦に入りました。その後、帰宅する時に、持ち主の友人に，「かたずけようか？」と尋ねたのですが、「そのままでいいよ」と答えたので、かたずけずに帰宅しました。ところが、その日の夜、お金持ちの子のお母さんが、血相を変えて怒鳴り込んできたのです。かたずけずに帰った事が気に入らなかったようで、「いったい、どういう教育をしてるんですか？」などと、散々に怒鳴り散らしたようです。マスターのお母さんは、平身低頭で謝るばかりです。マスターの親は、近所で飲食の店をやっていたので、弱い立場だったというのもあったようです。なんとかして真実を説明しようとしても、大人たちは、誰も話を聞いてくれませんでした・・・・・。そして、その後、二度と、お金持ちの子の家には遊びに行けなくなりました。「出禁」を食らったようであります。 さて、今回、皆様にご紹介する商品ですが、サイズは小さいけれど、なかなか綺麗な色の「ビルマ産の非加熱サファイア」です。一応、ブサ男の一族なので、内部は、ごちゃごちゃしておりますが、価格が価格ですので、その点は、ご容赦下さいませ。ちなみに、マスターの店も、昭和のレコードや雑誌で、内部がごちゃごちゃしていましたが、その分、たいそう物知りで、話は面白かったです。この商品も、カシミールの次に高級なモゴクのブルーサファイアですので、ルースとして何かと面白いと思いますよ。ところで、マスターは、１５年ぐらい前に、店をオープンさせたそうですが、その資金は、羽振りの良い土建屋の社長さん(以前、勤めていた店の客)が二つ返事で貸してくれたそうです。「こんなに簡単に貸してもらえるのなら、もっと早く言えば良かった・・・・・」と、マスターは後悔していましたが、某も、本当に、そう思います。誰でも、そんな簡単に貸してもらえる訳ではないので、少年時代のエピソードを重ね合わせれば、おそらく、金持ちに気に入られる何かを持ってるんだと思います。恐るべき「小判ザメ風ポテンシャル」でございます・・・・・(笑)。