【817】マサクレ ローリン製 虐殺、皆殺し、が、マサクレ、です。 ところが、この選手、そういう感じじゃないです。 ルチャドールになった理由からしてちょっと変わっています。元々が消防士でしたが、ダイエットのためにルチャリブレをはじめたというのです。 ところが、1983年、ヌエバアレナアパトラコのプロモーター、ラウルレイジェスは、この人に目をつけました。用意したマサクレのマスクをつけると、人気は急上昇、アレナメヒコのメインにまで駆け上がります。 ちょうど、インフェルナレスの一員であったピラタモルガンがサタニコと仲間割れし、テクニコに転向したところ。その後にインフェルナレスに加入したのが、マサクレです。 182センチ100キロ、あのＭＳ１よりさらに大きいのですが、均整のとれた身体。後の素顔からするとファラオンみたいな伊達男でテクニコをやってもよさそうな素養もありました。ところがこの人は、とにかく卑怯者を演じることに徹したのです。姿かたちは似ても似つかないけれど、ハロウィンやダミアン666にちょっと通じるところもありました。 インフェルナレス総帥サタニコは、悪の限りを尽くします。相方のＭＳ１は、ルチャリブレすごい、でしたが、テクニコとかルードとかどうでもいいみたいにぼーっとしたところがありました。そこに、卑怯を売りにしたマサクレが加わります。ルードトリオとしては、うってつけのサードでした。 そのマサクレがマスクを脱いだのが、1986年8月29日のアレナメヒコ。 ちょうどこの前週にマサクレ、サタニコ、ＭＳ1が、キッス、リスマルク、アルフォンソダンテスとやって、この時、マスクマン同士、マサクレとキッスで揉めました。キッスは、北のティファナ出身のテクニコで、実力者です。マスクがロックバンド、キッスのジーンシモンズですが、実際ロサンゼルスのリングでも試合が多く、アメリカ寄りでした。 「お前は、グリンゴどものプートなんだ」とか、マサクレが挑発したのが、キッスの怒りに火をつけ、この日のマスカラ戦になったといいます。マサクレは、せこさとずるさを前面に出し、あと一歩のところまで追い込みますが、実力通り、キッスが勝ちます。 マスカラ戦の敗者マサクレが、素顔をさらしたのは一瞬、あーらよっとってな調子で、顔を隠して花道を逃げ去る卑怯者に、観衆は、罵声を浴びせました。コロナビールのカップがいくつも投げつけられる。それだけじゃがまんならない人が、つかみかからんとして、警備に取り押さえられている。これくらい、観客をイライラさせたマスカラ戦敗者もいないかもしれません。 書き忘れましたが、フェルサゲレーラを作ったのもラウルレイジェスです。ＭＳ１、ＭＳ２（マサクレの前キャラ）RobotR2 RobotC3。いずれもスターウォーズですが、ちょっとだけ変えて版権にかからないようにやっている（笑）。プロモーターラウルレイジェス。さすがです。そのラウルレイジェスを師匠と仰いだのが、マサクレであり、ローリンです。マサクレについてローリンに聞いたら、「おー、マサークレー」アレナアパトラコ時代を懐かしそうに話された。マサクレはボカアビエルタ（口開き）が有名ですが、フチは何通りかのパターンがあります。ローリンは口閉じのモデルも作りました。ローリン製の古いマサクレは、マスカラ大百科にも掲載されました。 防縮された黒ラメ二重生地。銀ピエール本革。厚手一枚革の王道マスク、強力です。卑怯者のマスクには到底見えないです。【818】へ続く。